ストラータス・ファンは必携
レハール後期の「悲劇オペレッタ」は、全編に楽しいナンバーやユーモアを散りばめつつラストでホロリ泣かせるという松竹新喜劇パターンが多い。が、さすがに最後の作品となった「ジュディッタ」では終始甘さと背中合わせの緊張感が漂い、テイストとしてはプッチーニに近い。野外場面を中心とした映画仕立てが、悲劇感を際立たせる。題に反してテノールが主役の作品で、ルドルフ・ショックは老いたりといえど堂々の歌と二枚目ぶりを披露する。一方タイトル役のテレサ・ストラータスは、登場場面など不手際な演出でやきもきさせるが、後半、半裸に近い姿で熱唱するアリアは白一色のバックにくっきりと美貌と肢体を浮き上がらせ、さながら動くグラビアだ。露出度は「サロメ」の比ではなく、細身のイメージが強い彼女が案外そうでもないことも判る。写りのよくないジャケット写真に騙されてはいけません。彼女のファンは必携です。あ、もちろん歌も立派です。何といっても若い。 オペレッタならではの楽しさを期待する人にはおすすめ出来ないが、ドラマと音楽のまとまりは良く、歌・演奏ともレベルが高いので、むしろオペラ入門として格好の一枚。演出は上々とはいえないが、タイトルインの呼吸の良さ、ロケ映像など美点も多い。
ニホンモニター・ドリームライフ
|