ただ楽しむことしか考えていなかった女の子は、さまざまなジャンルのスタンダード・ナンバーを繊細にカバーできるアーティストへと成熟を遂げた。ロッド・スチュワートの『As Time Goes By...: The Great American Songbook, Vol. 2』に続けとばかりに、シンディ・ローパーがその素晴らしい声を生かした多彩なカバー集をリリースした。取り上げた曲は、エディット・ピアフの「La Vie En Rose」と「Hymn to Love」、バート・バカラック / ハル・デヴィッドのソングライティング・コンビによるチューン、エタ・ジェイムスやスモーキー・ロビンソンの名曲など、幅広い。 アップビートなトラックもあるにはある。たとえば、過激なアレンジを施され、スペシャルズを思わせるきわめて正統的なスタイルのスカに生まれ変わった「Sunny Side of the Street」や、トニー・ベネットとの意外なデュエットで楽しませてくれる「Makin’ Whoopee」、リッキー・リカルド的なチャ・チャ・チャに仕立て上げられたモーリス・ウィリアムス&ザ・ゾディアックスの「Stay」などだ。しかし、アルバムの大部分は落ち着いた物悲しいムードに包まれている。「Unchained Melody」、「Don’t Let Me Be Misunderstood」、そして恐ろしいまでに陰うつな「Walk on By」はセンシティヴなアレンジが見事で、ピアノと繊細なオーケストレーションが緊張感をかもし出している。その効果は奥深いものを感じさせ、耳にこびりついて離れない。まるでローパーが心の奥底からトーリ・エイモスを解き放ったかのような印象を与えるのだ。 ローパーは、「You’ve Really Got a Hold on Me」を泣かせるバラードへと変えてしまうなど、驚くばかりの歌唱力と解釈力を発揮している。全編で輝きを放っている彼女の歌声は、シンプルな仕上がりであるために、よりいっそう強烈な印象を残す。思えば過去の何枚かのアルバムは、オーバープロダクションのために魅力が半減してしまっていた。だが本作のタイトルが示すとおり、ローパーはようやく(At Last)素顔を見せてくれたのである。(Hal Horowitz, Amazon.com)
生涯聴き続けることができるCDです。
最近は昔のレパートリーを様々な形でリリースするだけの凡庸な彼女ですが、このアルバムは「シンディ・ローパー」というアーティストの枠を超えた素晴らしい内容に仕上がっています。
これほど聴きやすいスタンダードナンバー集に出会ったことはありません。モーツァルトに匹敵する心地よい環境を作ってくれます。
デビュー当時から応援している才能あるアーティストなので、このアルバムの第2弾と共に、オリジナル作品のリリースも切に願っています。
白く燃える炎
これだけ「歌える」人ならば、もうどんなことがあっても 死に際は満面の笑顔でしょう。 「いい人生だった! わたしは最高の歌声を残した!」と。あ、でもアーティストって現状に満足しないらしいから、もっと もっとスゴイ歌声をひっさげて次回のアルバムを発表するのかな。 デビュー以来、ずっとファンでした。 人柄の良さ、しみじみと暖かい優しさにひかれ、思い切った衣装や 謎の振り付けにもある意味「眼をつぶっ」ていたような面があった のは否めないかもしれません。かわいいからいいじゃん、とか。 しかし圧倒的な才能をもつ、歌の巨人でもあったことを正面から ぶつけられて、わたしは、わたしは、なれるものならシンディ・ ローパーになりたいです。 聞かずに死ねるか! と皆さんに言いたいです。
わびさびが出てきたシンディの歌唱
シンディの5年ぶりのフルアルバムはカバーアルバムで、シンディにとってはなんと89年の『A NIGHT TO REMEMBER』以来の全米トップ40入りを果たしました。 オープニングの「AT LAST」と二曲目の「WALK ON BY」を聴いていると、5月に行われた来日コンサートがじ〜んと思い出されてしまいます。あの時のシンディの名唱の数々は幻じゃなかったんですよね?ってことをこのアルバムが証明してくれてるような、そんな気持ちになるんですね。元気印の「STAY」や「ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET」は往年のシンディを思い出させてくれて嬉しいけれど、心にぐっと来るのは祈るように歌う「UNCHAINED MELODY」や「IF YOU GO AWAY」のような曲です。オリジナルはオリジナルとして永久不滅の名曲たちですけど、シンディの歌唱からも耳を背けられない、そんな歌に仕上がってますね。 アレサの「UNTIL YOU COME BACK TO ME」などは、この曲を書いたスティービー・ワンダーが参加してるのに関わらず全く違う肌触りの曲に仕上がってるし、また尾藤イサオのあの曲も、シンディの手にかかるとこうなるか、といった感じでこれぞカバーの醍醐味が味わえます。 まだまだ決して枯れてはいないシンディですけど、以前に比べるとずいぶんわびさびの感じが出てきましたね、シンディ。そんなシンディがますます好きになりそうです。
ジャズのようなアルバム
シンディローパー初のカヴァーアルバム。スタンダードナンバーを集めた作品であるが、このアルバムでシンディローパーの歌の上手さが確認できる。初めマドンナと比べられつつ成長してきたシンディローパーであるが、このアルバムでしっかりとそれぞれが持つ特徴がわかり、別々の道を歩きだしたことが解かる。 聞いてみてくれると今までのシンディローパーとは、全然違うと思うはずだがこれも彼女が昔から持っていたセンスなのだと思う。奇抜な衣装に包まれて歌っていたシンディローパーは、このアルバムのジャケットではシックなドレスである。別の面のシンディローパーが聞ける(元から持っていた部分ではあると思うのだが)少し変わったアルバムです。
静かに深い情感でスタンダードを歌うCyndiの力作
Cyndi 6年ぶりの新作は緻密かつ大胆なアレンジで聞かせてくれるスタンダード集です。彼女が子供の頃から聴くとはなく耳にしてきた歌、近所からいつも聞こえていた歌声、心に残った歌詞。そんなスタンダード曲を素材に、Cyndiらしい繊細なタッチのアレンジを加えながら出来上がったのが本作と言えそうです。活き活きしたリズムをバックに元気なCyndi節が新鮮な"Stay"や"Sunny side of street"もありますが、Piano、Cello、Violaなどが奏でるシンプルな音をバックに切々とした情感を聴かせる"Walk on by"、"La Vian Rose"、"Don't let me be misunderstood"あたりの表情が今回の基調となっています。ひとり自己を振り返るような、過去の情景を回顧するような心持ちで歌い込まれた印象を持ちました。作品タイトルとし、また冒頭でたっぷり歌う"At last"の意味合いも頷ける内容です。ジャケット写真が示す通り感情表現の深さと美しさを基調にした、従来のCyndiとは少し表情を変えた力作と思います。ヴォーカリストとして彼女ほどの力量があってこそ作り上げることのできた作品でしょう。
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
シャイン ザ・ボディ・アコースティック ブリング・ヤー・トゥー・ザ・ブリンク~究極ガール エッセンシャル・シンディ・ローパー ブリング・ヤー・トゥー・ザ・ブリンク~究極ガール~スペシャルエディション(DVD付)
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